沖縄戦をテーマにした、明石家さんま主演のドラマ「さとうきび畑の唄」。
平和の大切さ、命の尊さをテーマにしたこのドラマは、2003年に放送され、
平成15年度文化庁芸術祭テレビ部門大賞、
第9回アジア·テレビジョン·アワード、ドラマ部門最優秀賞、
第58回芸術祭テレビ部門大賞を受賞しています。
主人公の平山幸一は、家族を愛し、人々の笑顔を愛し、最後まで人を信じる心を忘れない人物でした。
その幸一がドラマの中で残した名セリフは、先行き不透明な現代を生きる私たちに、
人はなんのために生まれ、どう生きていくべきなのか?
そのヒントを与えてくれると思います。
さとうきび畑の唄 さんま 死直前の名セリフ「こんなことをするために生まれてきたんやないんですよ」
明石家さんまさんが、このドラマで演じているのは平山幸一という人物。
関西から沖縄に移住して来て、那覇で写真館を営んでいる男性です。
人を笑わせるのが大好きで、明るく家族思い。
徴兵され過酷な状況下におかれながらも、仲間の兵士たちを常に笑わせ、元気づけます。
そんな心優しい幸一が、死の直前に放った衝撃的なセリフをご紹介します。
幸一ら日本軍の部隊は、負傷し動けなくなっているアメリカ兵を発見します。
命乞いするアメリカ兵を複雑な表情で見つめる幸一。
そんな幸一に「コイツを撃て」と命じる上官。
戸惑う幸一に、なおも執拗に「撃て」と迫る上官。
遂に怒りを抑えきれなくなった幸一が、涙を流しながら言い放ったひと言。
「私はこんなことをするために生まれて来たわけやないんですよ」
この時のさんまさんの言葉、そして表情をみて、私はもう涙が止まらなくなりました。
”そもそも、なんのためにこんな殺し合いをしているのか?
アメリカ兵だろうが、日本兵だろうが、大切な家族がいる。
どちらも願いはただ一つ。
愛する家族のもとへ無事に帰りたい…。
私の命は、大切な家族を守り幸せにするためにある。
こんな殺し合いをするのためのものじゃない。”
これは、 戦争がいかに人の命を粗末にする愚かな行為であるか、という本質を鋭くついた名セリフです。
そしてこのセリフには、そ幸一の、いや、戦争に巻き込まれた全ての人の思いが、
込められていると感じます。
しかし…
涙ながらに訴えた幸一の思いは、上官には届きませんでした。
メンツを潰され、激昂した上官。
幸一のこめかみに銃口を突きつけます。
場面が切り替わり、銃声の音だけが鳴り響く。
この上官は、幸一に「アメリカ軍は何人もの日本人を殺したんだ。だから撃て!」と怒鳴っていました。
その彼が、自身も仲間の日本人を殺すなんて、本当に狂気としか言いようがありません。
誰のために戦っているのか?
なんのために戦っているのか?
本当にわからなくなってしまいますね。
でもこれが、戦争という極限状態に置かれた人たちの心理状態なのでしょう。
もしも自分も同じような状況に置かれたら、果たして自分は正気を保っていられるだろうか?
幸一のように、平和の大切さを訴え続け、自分の命と引き換えにしても信念を貫き通す勇気が持てるだろうか?
私はとても考えさせられました。
さとうきび畑の唄 さんまの名セリフ「人は死んだらダメなんです」
このドラマには、さんまさんのセリフが、じわじわと心に響いてくる名シーンが他にもあります。
その一つが、幸一の次男、昇(勝地諒)が玉砕するシーンです。
幸一の次男、昇は正義感の強い17歳の少年。
自ら志願し通信兵となりました。
ある時、敵に遭遇した昇たち。
上官は、昇の戦友に米兵に向かって突撃せよ、と命じます。
しかし昇はかつてこの戦友が、
「自分は、母一人子一人。
自分が死んでしまったら、母はひとりぼっちになってしまう」
と話してくれたことを思い出します。
そして、その戦友の代わりに自分が行くことを申し出るのです。
手榴弾を抱え、アメリカ兵たちに向かって突撃する昇。
銃撃を全身に浴びながら、幸せだった家族との思い出が走馬灯のように頭をよぎる。
「人は死んだらダメなんだ」
図らずも、そんな父、幸一の言葉に背くことになってしまった昇。
昇の表情からは、悔しさ、悲しさ、申し訳なさなど、色々な思いが滲み出ていました。
昨今、日本やアメリカでは、若年層の自殺が増えています。
確かに生きづらい世の中であると私も感じます。
でも、それでも人は生きていかなくてはいけない。
今、生きていることが辛くて仕方がない、と悩んでいる人にとっては、とても重たい言葉かもしれません。
でも、戦時中は、生きたくても生きられなかった人がたくさんいる。
親からもらった命。
先人たちの犠牲の上にある今の平和。
それを考えると、やはり自分から生きることをやめるという選択は、してはいけないことだと思います。
どんなに辛くても、前を向いて生きていかなくてはいけない。
私は、改めてそんなことを考えさせられました。
さとうきび畑の唄 さんまの名セリフ「自決するんじゃないよ」
もう一つ、私の印象に残っている幸一の言葉を紹介します。
それが
「自決するんじゃないよ。敵も同じ人間。
同じように家族と暮らしているんだから、鬼のような人たちとは思えない」
という言葉。
日本軍から、”鬼畜”と言われ、恐れられていたアメリカ兵。
でも、幸一は彼らも同じ人間だから大丈夫だ、と子供達に言っていました。
地上戦が激化する中、洞窟に身を潜めていた妻の美知子(黒木瞳)や長男の嫁(仲間由紀恵)たち。
洞窟の外では、拡声器で投降を呼びかける米軍がいる。
アメリカの捕虜になるくらいなら、と自決を覚悟して洞窟に留まる人々。
そんな中、平山家の人たちは幸一の言葉を守り、自決ではなく投降することを選びます。
洞窟から出て来た彼女たちに、銃を突きつける米兵。
危険なものを持っていないか、調べるためです。
しかしそんなことを知る由もない次女、春子(大平奈津美)が訊きます。
「Do you kill me(私を殺すの)?」と。
すると米兵が「No(そんなことしないよ)」と優しく彼女の頭をなでるのです。
幸一が言っていたように、この兵士も戦争が始まる前は、春子と同じくらいの娘と共に暮らしていたのかも、と感じさせるやりとりです。
こうして父の言葉を信じ、同じ人間である米兵を信じ、春子達の尊い命は救われたのです。
幸一が、家族にいつも言っていた「お父さんが絶対にみんなを守るから」という言葉は本当でした。
離れ離れになっても、こうやって妻と子の命を守った幸一の、人としての素晴らしさも際立つシーンです。
一方で、私がこのセリフを聞いて思ったこと。
それは、当時の沖縄の人にとったら、日本兵もアメリカ兵と同じくらい怖かったんじゃないかということです。
その証拠に、アメリカの捕虜になるくらいなら集団で自決しろ、と言われていたのですから。
罪のない女性や子供も、お国の名誉のため?に殺そうとしている日本軍。
この場面では、アメリカ兵よりも日本兵の残酷さの方が際立ったと個人的には感じました。
こんな理不尽なことがまかり通っていた戦時下で、日本兵にしろアメリカ兵にしろ、
人としての良心を信じることの大切さ。
信じることからしか、お互いに歩み寄ることはできないんですよね。
でも、行動に移すことはすごく大変そうだなと個人的には思いました。
以上、さんまさん演じる幸一の、印象深い名セリフの数々を紹介しました。
戦争が遠い昔の出来事とは思えなくなりつつある昨今、
私たちはこれらのセリフを、改めて心に刻む必要があるのではないでしょうか?
まとめ
以上、「さとうきび畑の唄」の名セリフの数々をご紹介しました。
物語の前半は、本当に幸せそうな仲の良い家族の暮らしぶりが描かれているだけに、
戦争によってその家族が引き裂かれ幸せが壊れていくドラマの後半は、胸が締め付けられます。
幸せに暮らしている罪もない人たちが犠牲になり、大切な人や命を奪われる、その理不尽さ、愚かさ。
それを鋭くついた幸一の最後の言葉。
そして家族を守るために残した、力強い言葉の数々。
ストレスが多い現代社会。
生きることに希望を見出しにくい、と感じることが私もあります。
それでも、私たちは生きていくことを諦めてはいけない。
親が与えてくれた命、先人たちの犠牲のもとにある平和を粗末にしてはいけない。
幸一の言葉は、そんな大切なことを思い出させてくれます。
まだこのドラマを観ていないという方は是非、一度、ご覧ください。
命の大切さ、
大切な人と一緒にいられることのありがたさ、
それをひしひしと感じさせてくれると思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
このドラマのモチーフとなった楽曲「さとうきび畑の唄」についての記事はこちら

主人公、平山幸一の死の真相やその後の家族についての解説記事はこちら



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