沖縄で生まれた特撮ヒーロー、「琉神マブヤー」。
子供向けのヒーローものと侮るなかれ!
この作品は、沖縄の精神性や文化、方言など沖縄について色々と学べる素晴らしい作品。
沖縄に生まれ沖縄を愛する県民だけでなく、沖縄好きの県外の方も絶対に楽しめると思います!
この記事では、「琉神マブヤー」のあらすじとキャラクター紹介を軸に、作品の持つ深い魅力を掘り下げていきます。
悪者であるマジムンたちが体現するメッセージや作品が伝える沖縄の精神性、作品が果たす社会貢献についても触れます。
ぜひ最後まで読んでくださいね。
琉神マブヤー 沖縄初のヒーローはどうやって誕生した?
「琉神マブヤー」は、沖縄オリジナルの男の子向けキャラクター、として誕生しました。
キティちゃんをはじめとしたサンリオキャラクターは女の子向けグッズ。
それに比べて男の子向けのキャラクターが少ない…。
そこに目をつけた沖縄県内のみやげもの業者のアイデアで生まれたのが、「琉神マブヤー」です。
その後は、キャラクタターの商品化にとどまらず、県内の商業施設でのキャラクターショーを展開。
そして2008年には、テレビドラマ化。
テレビ番組は予想を超える大ヒットとなり、「琉神マブヤー2(ターチ)」「琉神マブヤー3(ミーチ)」などのシリーズが誕生しました。
「琉神マブヤー」は全部で8作品(うち劇場版が1つ)あります。
私の個人的な意見ですが、この作品は大人の私が見てもすごく面白い!
子供だけでなく大人でも、すごく楽しめる作品なんです。
大ヒットしたのも納得です。
どういうところが、そんなに面白いかって?
それは、沖縄の伝統文化や精神性、方言を全面に押し出している、という点です。
この作品を見れば、沖縄独自の文化、そして方言までも自然に学べてしまうんです。
だから沖縄県内外、年齢問わず、沖縄が好きな人ならこの作品も絶対好きになる!と思います。
琉神マブヤー あらすじ- 9つのマブイストーンをめぐる戦い –
「琉神マブヤー」は、9つの「マブイストーン」をめぐるヒーローと悪の軍団「マジムン」との戦いの話。
「マブイ」とは、沖縄の方言で「魂」のこと。
つまり、「マブイストーン」とは、直訳すると「魂の石」ということです。
この作品の中では、9つの「マブイストーン」が出てきます。
それぞれが、沖縄の人々が昔から大切にしてきた伝統や風習を象徴しています。
その「マブイストーン」を狙っているのが、悪の軍団「マジムン」です。
「マジムン」とは、「妖怪や悪霊」を意味する方言。
マジムンたちから「マブイストーン」を守るため、海のはるか彼方にある理想郷「ニライカナイ」からやってきたのが「琉神マブヤー」なのです。
いかがですか?
物語の設定だけでも、沖縄色が全面に出ていると思いませんか?
本土に比べれば、まだ、伝統的な風習が日常生活の中に根付いている沖縄。
しかしそれらも時代とともに失われつつある…。
そういった危惧感が、この作品の物語設定に現れているように私は思います。
琉神マブヤー マブイストーンが象徴する沖縄の文化と精神性
9つの「マブイストーン」は、それぞれが沖縄の文化や精神性を象徴しています。
いくつかご紹介します。
ウチナーグチのマブイストーン
「ウチナーグチ」とは、沖縄の方言のこと。
だから、このマブイストーンを盗まれてしまうと、方言を話せなくなってしまうのです。
近年、沖縄では方言を話せない・理解できない子供たちが増えています。
そのため、県内では「ウチナーグチ大会」が開かれるほど。
方言をいかに残していくか?
これは沖縄が直面している課題の一つです。
今現在、90歳や100歳を超えるような高齢者の方が話す沖縄の方言。
これは、日本語とは全く別の言語。
そのため、子供達がひいお祖父さんやひいお婆さんとコミュニケーションがとれないなんてこともあります。
「琉神マブヤー」をきっかけに、子供達には方言に是非、興味を持ってほしいものです。
エイサーのマブイストーン
「エイサー」とは、沖縄で旧盆にご先祖様をお迎え・お送りする時に踊る盆踊りのことです。
毎年9月には「全島エイサー大会」が開催されるほど、沖縄の人々はエイサーが大好き!
エイサーのマブイストーンが盗まれて、エイサーが踊れなくなったとしたら…
沖縄の人にとってまさに魂をえぐり取られるほどのダメージ!
あくまで個人的な印象ですが、そう思います。
いちゃりばチョーデーのマブイストーン
「いちゃりばチョーデー」とは「一度出会ったら兄弟」という意味の沖縄の方言。
情に厚い沖縄の県民性をよく象徴する言葉です。
このストーンを盗まれたら、沖縄の魅力である沖縄の人の懐の深さが失われ、沖縄の魅力が半減しそうです。
カチャーシーのマブイストーン
「カチャーシー」は、方言で「かき混ぜる」という意味。
結婚式などの祝い事の最後に必ず踊られる踊りです。
福や喜びをみんなで分かち合いましょう、という精神が込められています。
この「分かち合い」の精神も、沖縄の人はことさらに強いという印象を私は持っています。
ですので、このマブイストーンも絶対に失ってはなりませんね。
いかがでしょうか?
どのマブイストーンをとっても、沖縄の人にはなくてはならない大切な価値観や文化の象徴であることが、理解いただけたと思います。
こんな設定を考えるなんて、本当によくできた作品だな〜と、私はただただ感心してしまいます。
琉神マブヤー キャラクター紹介――ヒーローから悪の軍団マジムンまで
「琉神マブヤー」は、あらすじだけでなく、登場するキャラクターたちも沖縄色満載です。
ヒーローキャラクターたち
主人公である叶(カナイ)は、陶芸工房で働く22歳の青年。
「マブイグミ」をしている時に琉神マブヤーの魂を宿した、という設定です。
「マブイグミ」とは、沖縄で現在も行われている風習。
沖縄では、ショックな出来事に遭遇すると、マブイ(魂)を落とす、と言われています。
「マブヤー、マブヤー、ウクーティーヨー(マブヤー、戻ってきてください)」と言いながら、落ちたマブイを探して体に入れ直す。
それが、マブイグミの儀式です。
この時に、琉神マブヤーの魂がカナイの体に入ってきた、というわけです。
シリーズを重ねるごとに、琉神ガナシーや風神カナミーなど新たなヒーローたちも加わります。
ヒーローたちの絆、力を合わせて戦う姿も見どころの一つだと思います。
悪の軍団「マジムン」 キャラクターに込められたメッセージ
悪の軍団「マジムン」のキャラクターも非常にユニーク。
ボスは、ハブデービル。
「デービル」という言葉は、沖縄の方言で、「〜です」という意味です。
なので、「ハブデービル」は、「ハブです」ということ。
これだけでもなんだかお茶目で憎めないですよね(笑)。
他にも、オニヒトデービル、ハブクラーゲンやマングーチュなど。
すべて自然界に生息する生き物がモチーフです。
しかも、これらの生き物は、オニヒトデにしろハブクラゲにしろ、どちらかというと人から嫌われる存在。
しかし『琉神マブヤー』では、そんな厄介な存在でも退治しないのがルール。
毒を持つ生き物でさえも殺さず、いかにして共生共存するか――。
ここには自然破壊や国家間の争いが絶えない現代社会への、深い問いかけが込められている。
私はそんなふうに感じます。
琉神マブヤーが伝えたい最も大切な沖縄の精神――「許しの心」
「琉神マブヤー」が伝える、もう一つの絶対に忘れてはならない沖縄の精神。
それは「許しの心」です。
沖縄は、第二次世界大戦のとき、唯一、地上戦が行われた場所です。
想像を絶するような深い悲しみを今なお抱えている沖縄の人々。
だからこそ、平和を願う気持ちはとても強いと私は思います。
そして真の平和は、暴力で勝ち取ることはできません。
だから、たとえどんな相手であっても許すのです。
許すことからしか、本当の平和は実現できないから。
悪者でも殺さないという作品の設定は、こうした平和への思いも根底にあるように個人的には感じます。
琉神マブヤー 地域への影響と社会貢献――教育・文化継承・世代をつなぐ力
方言の継承と世代間コミュニケーション
「琉神マブヤー」に登場するキャラクターたちのセリフには、沖縄の方言(ウチナーグチ)がふんだんに使われています。
しかもセリフにはあえてテロップをつけないという徹底ぶり。
大好きなキャラクターが何を言っているのか知りたい!
そんな子供たちの好奇心をくすぐり方言を楽しく学ばせる。
そんな粋な仕掛けが感じられます。
また、「分からない方言は、お父さん・お母さん、あるいはオジー・オバーに聞いてね」
というかたちで、世代間コミュニケーションにもひと役かっています。
沖縄県の郷土教材への採用――道徳教育としての琉神マブヤー
『琉神マブヤー』は、沖縄県の郷土資料でも取り上げられています。
「海は誰のものか?」という大切な問いを、子供たちに投げかける内容。
作品では、ハブクラゲやオニヒトデなど、海の生物をモチーフにしたキャラクターが出てきますからね。
マジムンとも共生を目指すという作品のテーマが、道徳教育にも活かされているのです。
伝統芸能「組踊」とのコラボレーション――地域文化への影響
さらに注目すべきは、沖縄の伝統芸能である「組踊」とのコラボレーション企画!
「組踊」とは、ユネスコ無形文化遺産にも登録されている沖縄独自の古典芸能です。
現代のヒーローと300年以上の歴史を持つ伝統芸能が融合するなんて、すごいですね。
この企画は、若い世代に組踊に親しんでもらう絶好の機会となるはずでした。
残念ながら、マブヤーの創始者である畠中敏成氏の逝去により、開催が中止となってしまいましたが。
しかしこの企画は、伝統文化の継承における琉神マブヤーが果たし得る役割を象徴していると言えるでしょう。
いつかこの舞台が実現することを私は楽しみにしています。
主題歌にも沖縄へのこだわり
主題歌「魂の戦士」にも沖縄への深いこだわりが込められています。
前奏は三線の音色から始まり、歌詞には――
「アチコーコーのハート」(熱いハート)
「ひんぎれ~」(逃げろ)
「で~じなと~ん」(大変だ)
――など、方言があちこちに散りばめられています。
歌っているのは地元の有名アーティスト、ディアマンテスのアルベルト城間さん。
そして私の大好きな、ロックバンド紫。
紫は、琉神マブヤーシリーズの「レジェンド1972」の舞台となっているコザ(現、沖縄市)出身。
その点も、個人的には感慨深いです。
しかも、紫は日本語・英語バージョンがあります。
子供たちが方言と英語を同時に楽しめる工夫も素敵ですね。
琉神マブヤーの視聴・購入方法――配信サービスとコミック
配信サービス
『琉神マブヤー』シリーズはU-NEXTで配信中。
映画『琉神マブヤー The Movie 七つのマブイ』はAmazonプライムビデオ・U-NEXT・Apple TVで視聴できます。
また、公式サイトからDVDの購入も可能です。
コミック
テレビ・映画とは一味違う楽しみ方ができるコミック版もあります。
丸山哲弘氏による漫画(週刊少年チャンピオン連載)。
こちらは、原作に忠実なストーリー展開となっています。
大和田秀樹氏による漫画(ニュータイプエース連載)。
こちらは、沖縄の「あるある」ネタをふんだんに盛り込んだ内容。
沖縄大好き!という県外のファンは、きっと楽しめるはずです。
まとめ
本記事では、沖縄発の特撮ヒーロー『琉神マブヤー』について、まとめました。
沖縄が守りたい文化・言葉・価値観、そして現代社会が抱える問題への重要なメッセージが、散りばめられたこの作品。
ただの子供向けのヒーローとは違う、この作品の素晴らしさが伝わっていれば嬉しいです。
最後までお読みいただきありがとうございました。


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