ファッションやインテリア・アイテム、食文化、音楽など『昭和のもの』が注目を浴びている中、
「昭和のギャグ漫画を読んでみたいけど、何がいいかわからない」という人のために、
オススメの昭和ギャグ漫画をまとめました。
昭和のギャグ漫画の魅力や楽しみ方とともに、年代別、漫画家別にあえてちょっとニッチな作品をチョイス。
是非、参考にして、みてください!
昭和のギャグ漫画の魅力に迫る!何故、今、昭和のギャグ漫画なのか?昭和のギャグ漫画の楽しみ方
昭和のギャグ漫画は、閉塞感を感じている現代人に元気をくれる!!
昭和という時代は「戦後復興」「高度経済成長」「バブル経済」といった激動の時代。
国民が一丸となって、明るい未来を信じて邁進した昭和時代。そんな時代の空気感の中で生まれたのが昭和のギャグ漫画なのです。
物価高騰、自然災害、戦争など、行き不透明な現代において、昭和のギャグ漫画の爆発的なエネルギー感は、きっと私たちの心に元気をくれるはず!
令和を生きる私たちは、無意識レベルでそれを感じ取っているのかもしれませんね。
昭和のギャグ漫画は『昭和レトロ』を刺激する
昭和時代の文化が「懐かしい」と同時に「新鮮」として注目を浴びています。
昭和の時代の食器や家具などは、現代ではみられないようなデザインや色使いのものが多く、それらが若い世代には「目新しい」「エモい」とウケています。
漫画、サザエさんをみていると、なんとなくわかりますよね?
昭和を知らないはずの若い世代が、なぜ、昭和のものを目新しいと同時に「エモい」という感覚で捉えるのか?
不思議な現象ですが、昭和には何かそういった私たち日本人の憧憬をくすぐる何かがあるのかもしれませんね。
個人的には、昭和のギャグ漫画を通して昭和時代の街並みや家具、ファッション、人々の暮らしを感じてみるのも楽しみ方の一つだと思います。
昭和のギャグ漫画を通して見えてくる、現代とは全く違う昭和の価値観
昭和のギャグ漫画に出てくる暴力シーン、性的描写や差別的な発言。
この令和の時代においては絶対的にNGなものがたくさんあります。
しかし、それらが昭和の時代には広く受け入れられていたのです。
もちろん作品によってはその過激な描写により物議を醸し出したものもありますが…。
かなりきわどいそれらのギャグ漫画が、なぜそれほどまでにウケたのか?
そこを深く掘り下げ分析してみれば、昭和という時代を理解する手掛かりとなるでしょう。
”異なる時代の価値観や文化を研究する材料”という、ちょっと学者っぽい視点で、昭和のギャグ漫画を読むのも面白いと思います。
個人的な見解ですが、タブーな部分にあえて焦点を当てる昭和のギャグ漫画。
それを『攻めの姿勢』と捉えれば、戦後復興に意欲を燃やす昭和の日本人の気概の表れと捉えることもできるでしょう。
昭和のギャグ漫画が親と子の会話をうみだす
若い世代にしてみれば、自分たちの両親にも子供時代があった、というのは普段はあまり考えないことでしょう。
でも確かにお父さんやお母さんにも子供の頃があり、時に破茶滅茶で意味不明な昭和のギャグ漫画を嬉々として読み笑い転げていたのです。
「お母さんが子供の頃は、この漫画が大好きだった」
「お父さんは、小学生の頃、友達とこんなギャグを真似してたんだ」
昭和のギャグ漫画を通して、親とこの間にこんな会話が生まれても全然不思議ではありません。
下ネタ満載でとにかくお下品。あまりに馬鹿馬鹿しすぎてかえって笑っちゃう。
そんなギャグ漫画の不思議な魅力について、親子で話し合ってみるのも楽しいのではないでしょうか?
昭和のギャグ漫画:年代別のおすすめ作品
昭和のギャグ漫画の登場は、昭和40年代(19960年代後半から70年代の初め)。
明治期にあった「ポンチ絵」というものが大正から昭和初期に『漫画』へと発展し、さらにそれが「劇画」と「ギャグ漫画」へと二分化した頃です。
ただ同じ『昭和』といっても、40年代、50年代、60年代と年代別にその特徴は少しずつ違っています。
40年代から50年代は、目玉が飛び出す、顎が落ちる、などキャラクターの顔や動作が激しく崩れたり、テンポが早く、ドタバタ劇的様相。過激なギャグが多いのが特徴です。
60年代になると、内容が非現実的で奇抜なものへと変化していきます。バブル経済に沸く1日本を象徴するような、楽し、ノリの良さが特徴。
私自身は主に昭和40年代、50年代のギャグ漫画を読んで育ちました。あのドタバタしたはちゃめちゃな感じは、小学生くらいの子供のエネルギー感と親和性が高いですから、とても好きでした。
だから、「とにかく無邪気な子供心に返って馬鹿らしいことで大笑いしたい」という場合は、個人的には昭和40〜50年代のギャグ漫画がおすすめですね。
『いじわるばあさん』(長谷川町子)
『サンデー毎日』に連載(1966~1971)されていた4コマ漫画。テレビドラマやアニメ化もされています。
主人公は家族や見知らぬ通りがかりの人に数々のいたずら、嘘、意地悪をしかけるのが生きがいの「いじわるばあさん」、本名「伊知割石(いじわる いし)」。
「石」のあまりの意地悪っぷりに、家族が手を焼き老人ホームに入れられたりもするが、そこでも施設職員たちに意地悪を仕掛ける。
更には、同居の長男家族が飼っているペット(雑種犬だけど”ラッシー”)や、近所の子供たちにも小遣いを与えて意地悪の代行を依頼する。
交通事故で臨死体験し地獄に行くエピソードでは、地獄にいる鬼や閻魔大王から「到底引き受けられない」と娑婆に追い返されるほど。
度を過ぎたいたずらは、読んでいて「え、そこまでやるの?」という感じで、昭和のギャグ漫画らしいなと思います。個人的には「痛快」という表現がぴったりきます。
人間誰しももっているけど、表には出さない”ブラックな部分”を私たちに代わって一手に引き受けてくれているのが、いじわるばあさん。
「そんなことして、ひどいわ〜」と言いつつ、内心では「くすっ」と笑ってしまうこと間違いなしの昭和を代表するギャグ漫画作品の一つ。
『ダメおやじ』(古谷三敏)
週刊少年サンデーに連載(1970〜1982)。
単行本は曙出版からアケボノコミックスとして全21巻、その続編が小学館から少年サンデーコミックスとして全18巻出版されるほどの人気漫画。
うだつの上がらないサラリーマン、雨野ダメ助(「ダメおやじ」)と彼を徹底的にいたぶる家族(妻冬子、娘雪子と息子タコ坊)の話です。
ダメ助は玄関先で今日も祈る「神様、どうかこの戸の向こうに平穏が待っていますように…」と。
家族のために身を粉にして働いているのに、「亭主元気で留守がいい」なんて言われた昭和のサラリーマンの悲哀が込められたような作品だというのが個人的な感想です。
おでこが広く目と目の間が離れ、鼻毛が3本飛び出ている、薄毛のダメおやじ。
お化け屋敷の入り口で、その鬼のような風貌と巨体からお化けと間違われてしまう、妻冬子(『オバタリアン』はこのキャラクターがモデルとなり誕生)。
ダメ親父とそっくりの風貌をしたタコ坊(なぜか家族の中で唯一、長女雪子だけ美しいルックス)。
この強烈な風貌をした登場人物らを見ているだけで、私はこの漫画を読みたくなってしまうんです。是非、チェックしてみてください。
『マカロニほうれん荘』(鴨川つばめ)
『週刊少年チャンピオン連載(1977~1979)。
下宿「ほうれん荘」に新しく入ってきた主人公、沖田そうじ。
総司の下宿の同居人、としちゃんこと膝方歳三(ひさかた としぞう)25歳(落第10回)ときんどーさんこと、金藤日陽(きんどう にちよう)40歳(落第24回)。
この3人と彼らを取り巻く人々が、毎回様々なコスチュームや着ぐるみでボケとツッコミを繰り広げるストーリーです。
刑事ドラマやミュージカル、あるいは第二次世界大戦など、非日常的な要素がはいったドタバタ感満載の作品です。
主な登場人物のネーミングが新撰組のメンバーのパロディなところも、昭和40年代とは違っていますね。
また当時はやっていたCM、歌、特撮ものなどのサブカルチャーやファッションが味わえるのも、この作品の魅力。
青々とした髭剃りあとが残っている、濃〜い顔立ちの中年男性、きんどーさんのお姉キャラと「ゴリラダンス」は私の笑いのツボにハマりました。
私の中では、きんどーさんこそが元祖、”キモ可愛い”!
そしてもう1人の登場人物は、そうじたちの学級担任、後藤熊男(ごとう くまお)先生。
こちらもきんどーさんに負けじと、おかまキャラやコスプレで登場。
私が個人的に好きなのは、クマ先生のストリップショーですね。
かなりマニアックでサブカルネタが満載!好き嫌いは分かれるかもしれませんが、ハマる人は絶対にハマること間違いなしです。
『ハイスクール!奇面組』(新沢基栄)
週刊少年ジャンプに連載(1980〜1982)。
「一応高校」に通う、他の人とは全く違う、奇人変人5人組のストーリー。
自分たちの個性を恥じるのではなく、世の中に笑いを与える”調味料のような存在になる”ことをモットーに暴れまくる高校生たちのギャグコメディ漫画。
人と同じになろうとするよりも、自分の個性を受け入れて、その個性を堂々と世の中に打ち出していこう!
こういったメッセージ性は、昭和40年代、50年代のギャグ漫画にはみられないものだと個人的には感じます。
崇高なテーマがありつつも、登場人物の名前はかなりおちゃらけています。
「いちどう れい」「しゅっせ きよし」「ものほし だい」「かわ ゆい」「うる ちえ」「いかり ますよ」などなど。
よくもまあ、これだけふざけた名前を思いついたものだと感心します。
当時の流行や他の作品のパロディネタが多いのもこの作品の特徴。冒頭で述べたように、昭和のカルチャーを知る、という意味でもこの漫画は楽しめるでしょう。
昭和のギャグ漫画:昭和を代表するあの漫画家はこんなギャグ漫画を描いていた!
『もーれつア太郎』
週刊少年サンデー(1967〜1970)、コミックボンボン(1990〜1991)などで連載された。
昭和を代表するギャグ漫画作家、と言えば赤塚不二夫先生。『天才バカボン』や『おそ松くん』と言った先生の作品は、昭和のギャグ漫画を代表する作品と言っても過言ではないでしょう。
事実、赤塚先生の爆発的ヒット漫画、『天才バカボン』は少年マガジンで大人気連載漫画でした。
時を同じくして、『天才バカボン』に対抗するかたちで、少年サンデーが連載していたのが『おそ松くん』。
そしてその「おそ松くん』の後続としてスタートしたのが『もーれつア太郎』なんです。
この漫画は、江戸っ子気質が残る東京の下町を舞台にした人情もの。
母をなくし父親と二人暮らしをしていたア太郎。ある日、不慮の事故で父親までも亡くしてしまう。
主人公ア太郎と弟分のデコッ八、幽霊になった父ちゃん、背中に豚の刺青をしたブタ松親分率いる豚松一家など、ユニークなキャラクターが織りなす義理と人情の任侠ギャグ漫画です。
当時のギャグ漫画にはなかった”人情もの”という新しいジャンルを切り開いたこの作品。
笑いの要素だけでなく、昭和時代の下町にみられる人情味豊かな人間模様が「昭和ノスタルジー」をくすぐります。
他にも、べランメエ調で話す野良猫の『ニャロメ』、ゲジゲジの『ケムンパス』、「〜べし」が口癖のカエル『べし』といった、可愛い動物キャラも登場します。
私は『ケムンパス』が大好きで、子供の頃はノートにケムンパスの絵を落書きしていました。懐かしいですね~。
『まことちゃん』
週刊少年サンデーで連載(1976~1981)。
楳図かずお先生といえば、『わたしは慎吾』『14歳』『おろち』『猫目小僧』『漂流教室』など、多くの有名作品を残しておられ、昭和の恐怖漫画家、というイメージが強いのではないでしょうか?
しかしギャグ漫画でも大ヒット作品を生み出していたんです。それが『まことちゃん』。
先にあげた恐怖漫画と並んで、楳図先生の代表作の一つで、先生の自宅は「まことちゃんハウス」と呼ばれたほど。
楳図先生はこの漫画をきっかけにバンドを組んでツアーを行ったこともあるというから驚きですね。
「ぐわし」「さばら」「ぎょえ~」「なのら~」「ちびった~」など、主人公まことちゃんの「口癖は有名で、「ぐわし」のハンドジェスチャーは当時、誰もが知っていました。
さて、そんな『まことちゃん』。どんな作品かというと、幼稚園児の主人公(沢田まこと)とその家族が繰り広げる、下ネタ、エロネタ満載のギャグ漫画です。
原作者の楳図かずお氏も「KAZZ」として本作品に登場しています。
石器時代や江戸時代、SFテイストからホラーテイストのものまでストーリーはバラエティに富んでいます。
また、当時、女性に大人気だったアメリカのグループ、ベイシティローラーズをはじめ、研ナオコ、山口百恵、新沼謙治やイルカなど、同じく昭和の時代に活躍した芸能人も数多く登場。
またこの漫画で忘れてはならないのが「まこと虫」。まことちゃんの体内に生息し、まことちゃんのことを「おやべん(親分)」と呼ぶ謎の生物です。
一度見たら忘れられない強烈なビジュアルですので、是非チェックしてみてください。
余談ですが、最近、時々、”まことちゃんカット(刈り上げざんぎり頭のことを当時そう呼んでいました)”をした子供を見かけます。
昭和の漫画が再び脚光を浴び、当時はやっていたものも再び流行り出すかもしれませんね。
『Dr. スランプ』
週刊少年ジャンプに連載(1980~1984)。全18巻の単行本のほか、1991年に愛蔵版、1995年から96年に文庫版などが出版されている。1981年には『Dr.スランプアラレちゃん』というタイトルでアニメ化もされている。
昭和を代表する漫画家、もう1人は鳥山明さん。『ドラゴンボール』やパソコンゲームの『ドラゴンクエストシリーズ』などの超メガヒット作品を生み出した人です。
海外で『MANGA』という言葉を認知させるきっかけとなったのが、鳥山さんの作品だと言われています。
残念ながら2024年急性くも膜下血腫により、68歳という若さで急逝されています。
今回紹介するのは、「漫画家 鳥山明」という名前を広く知らしめた『Dr.スランプ』。
科学者、則巻千兵衛が作った人間型ロボット、アラレちゃんとペンギン村の住人たちが繰り広げるはちゃめちゃなストーリー。
のどかなド田舎の村が舞台ですが、太陽系以外の天体や異星人たちがたくさん登場します。
私がどハマりしたのは、頭部がお尻の「ニコチャン大王」。電車の中で、笑いを押し殺すのに大変な思いをしたことがあります。
また主人公のアラレちゃんはロボットなので、持っている力は強烈。
月や太陽を破壊したり、缶蹴り大会で缶をサハラ砂漠まで蹴り飛ばしたり。
同じ昭和のギャグ漫画でも、これまでに紹介してきた漫画と違ったスケールの大きな世界観だと個人的には感じます。
おりしも日本はバブル経済に沸き、飛ぶ鳥も落とす勢いでした。そんな時代の空気感とマッチしているようにも思います。
元気が欲しい時は是非、手にとって欲しい作品です。
閉塞感が強い今だからこそ、読んで欲しい昭和のギャグ漫画!
本記事で紹介した作品の中には『HMV & Books – Online』や『eBooks Japan』『コミックシーモア』などで、無料試し読みできるものがあります。
是非、気軽に読んでみてくださいね。
いい意味で「小さいことは気にしない」破茶滅茶さやドタバタ感、人情味あふれる人間模様など、昭和のギャグ漫画から溢れ出る爆発的なパワーは、心のカンフル剤になること請け合いです!

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