映画「木の上の軍隊」気まずいシーンはある?(ネタバレ)安慶名と上官の結末は? 

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映画「木の上の軍隊」は第2次世界大戦中、

激戦地の一つと言われる伊江島で、終戦を知らずに2年間もガジュマルの木の上で暮らした、

二人の兵隊の実話を基にした作品です。

この映画は戦争映画によく見られるような、グロいシーンや性的な描写はほとんどなく、

映画後半は、二人の登場人物の会話がメインで展開していきます。

その会話の中で、いくつか気まずい空気が流れるシーンがあります。

その気まずさは、本土出身の山下上官(堤真一)と故郷を戦場にされた安慶名(山田裕貴)の、立場や認識のちがいによって生じるものです。

この二人の考え方の違いこそが、この映画の重要なテーマだと私は感じました。

そこでこの記事では、気まずい空気が流れたシーンを4つ取り上げ徹底的に考察しています。

気まずくなった二人の認識の違いとは?

安慶名と山下は互いに分かり合えたのか?

映画を見る私たちにとっても、とても考えさせられる二人の考え方の相違。

是非、最後まで読んでください。

映画「木の上の軍隊」気まずいシーン(ネタバレ) ①「美しい島」は「奴らの墓場」!?

戦況が激しくなる中、本土決戦を食い止めるための最後の砦として、

飛行場を建設することになった伊江島。

島の住民総出で作業している様子を眺める沖縄本土からやってきた兵隊と山下上官。

以下は、二人の短いやりとりです。

沖縄出身の兵隊:「この島は美しいですね」

山下上官:「奴ら(米兵)の墓場ですよ」

沖縄出身の兵隊:「・・・」

この短いやり取りそのものは、脚本家による創作でしょう。

しかしこの会話には、日本本土の人間と沖縄出身の人間との温度差、という現実が

とてもよく表れていると私は感じました。

自分の美しい故郷を、人間の死体がゴロゴロ転がる場所にしたいと思う人はいないはず。

しかもその死体の中に、敵兵だけではなく自分の大切な家族や友人も含まれているとしたら、尚更のことです。

しかし、故郷の島を戦場にされた沖縄の人たちの気持ちを、想像だにできない日本本土出身の山下。

この時点ではまだ、相手の兵隊が気まずく沈黙してしまったことにすら、山下は気づいていません。

その後、山下の認識に変化は訪れるのでしょうか?

映画「木の上の軍隊」気まずいシーン(ネタバレ)② 安慶名がゴミの中から見つけた大切な物とは?

アメリカ軍が伊江島に上陸し、多くの軍人や地元住民が犠牲となる中、

命からがら、ガジュマルの木の上に身を隠した山下上官と安慶名(あげな)。

最初は食べるものにもこと欠いていたが、米兵たちが残していったゴミの中から、

食べ物だけでなくタバコや酒など、様々な物資を調達するようになったある日。

安慶名がゴミの中からあるものを見つけた。

そのあるものとは?

先祖代々の名前が書いてある位牌

それまでの安慶名は、どこか呑気で朴訥な青年として描かれています。

数々の戦争を体験し、日本の軍国主義の思想を叩き込まれてきた山下とは大違い。

しかし、無惨にも打ち捨てられた位牌を見つけた時、安慶名の中で何かが決定的に変わります。

愕然している安慶名の様子に気づきもせず、お酒を見つけて嬉しそうにしている山下。

二人の立場の違いが、明確に描かれています。

ウチナーンチュにとって命と同じくらい大切なもの、位牌

俺たちウチナーンチュ(沖縄の人)が、先祖の名前が書かれた位牌を捨てることは、死んでもありません!!

ガジュマルの木に戻った安慶名は、山下に向かって言います。

故郷の土地を占領し、有刺鉄線を張り巡らし「Keep Out(立ち入り禁止)」のサインを掲げ、

沖縄の人間が、自分たちの命ほど大切にしている位牌もゴミにする…

”もう我慢できない。

こうやって身を潜めているよりも、見つかったら見つかったで、米兵を片っ端から殺してやる!”

安慶名の怒りと憎しみに満ちた言葉を、山下は理解できません。

位牌が捨てられていたことに怒っているのはなんとなく理解できる。

でも、何故、それほど怒るのか?

その理由がまるで理解できない山下。

戸惑いの表情で言います。

「お前、変だぞ」と。

この一言で、安慶名の怒りはさらに爆発するのです。

先祖崇拝 日本と沖縄の文化の違い

本土出身の山下と沖縄出身の安慶名。

二人の間には、先祖崇拝に対する想いの強さに決定的な違いがあります。

確かに、日本にもご先祖様を敬う文化はあります。

しかし、沖縄の人の先祖崇拝は日本のそれとはやはりレベルが違う、と私は思うのです。

私は以前、とある方の家にお邪魔したことがあるのですが、

家に入ってすぐ目に飛び込んできたのは、大きな仏壇(沖縄では「トートメー」と言います)。

壁の横幅全てを占めるほどの大きさです。

映画の中でも、ハブに噛まれた安慶名が意識朦朧とする中で、

幻覚に出てきた実家の広い部屋に仏壇がありました

(私が見たものほど大きなものではありませんでしたが)。

家の奥に特別に用意された「仏間」に仏壇を置いている日本家屋とは大違いです。

安慶名の怒りを、山下が今一つ理解できないのも仕方ないのかもしれません。

映画「木の上の軍隊」気まずいシーン(ネタバレ)③ 故郷を戦場にされた安慶名

ゴミ捨て場で位牌を見つけて怒り心頭の安慶名と、それが理解できない山下の会話はまだ続きます。

「そもそも何で、沖縄で戦うんですか?!」という安慶名に対して、今度は山下が怒り始める。

「じゃあ、俺の故郷(宮崎)だったらいいのか?

自分の家族や友人さえ、幸せに暮らしていければ、他の人間はどうなってもいいのか?」と。

更に山下は続けます。

「戦場で戦って死ぬ俺たちよりも、戦争に負けた後の家族が悲惨な目に遭う。

だから家族を守るために戦うんだ!」

このやりとりの前に、安慶名は自分の家族のことを山下に話していました。

軍に土地を取られ、父は戦争から戻らず、そのせいで母は気がふれてしまった、と。

だから自分は、島を出て働きに行くことなんて考えたこともない、と。

そうです。

安慶名の家族や友人は、戦争の勝敗に関係なく、もうすでに悲惨な目に遭っているのです。

にもかかわらず、

「自分と自分の家族さえ良ければそれでいいのか?」

と堂々と言える山下。

友達と靴を探し回った思い出の丘は、自分が初めて人を殺した丘へと変わり、

飛行場を建設するために破壊された建物も、もう元には戻らない。

「僕の帰る場所は?!」

安慶名にそう問い詰められて初めて、山下は気まずそうにそっぽを向きました。

戦争によって永遠に変わってしまった、もう元には戻らない故郷。

辛くても、逃げ出したくても、ここにしか安慶名が帰れる場所はない…。

その気持ちが、ようやく山下に伝わった瞬間だと感じました。

 

映画「木の上の軍隊」気まずいシーン(ネタバレ)④ 二人は理解し合えたのか?

安慶名によって軍人から父親の心を取り戻した山下

映画のクライマックス。

いつまで経っても来ない援軍。

このまま待つよりは、死を覚悟で敵に突入しようと決めた山下と安慶名。

しかしその直後、二人は2年前に戦争が終わったことを知ります。

「帰りたいです」と子供のように泣きじゃくる安慶名。

「生き恥を晒すくらいなら殺されたほうがマシだ!」と叫ぶ山下。

銃を突きつけられても、なおも「帰りたい」と泣きじゃくる安慶名を見て、

山下の中で、安慶名の姿と息子の姿がダブります。

息子のことをあんなに恥だと言っていた山下が、泣きじゃくる息子の幻影を見て、

一瞬にして父親の心を取り戻した瞬間。

フラフラと森の方へ歩いていく安慶名を何も言わずに見送る山下。

このシーンは、「故郷の家族のもとに帰りたい」という全ての人に共通の思いが、

自分の中にもあることを山下が受け入れ、安慶名の気持ちも初めて理解したシーンだったと思います。

映画「木の上の軍隊」最後のシーン(ネタバレ) 山下は、安慶名の命を救った?

「(家に)帰りたい」と、森の中をさまよい歩いていた安慶名。

しかし途中で、ハブに噛まれてしまいます。

毒がまわり意識が朦朧とする安慶名。

死んでしまった母や親友の稲嶺(津覇竜斗)の幻影を見ます。

そしてたどり着いた海。

膝の辺りまで水に浸かり佇んでいるところを、山下に発見されます。

必死に安慶名の名を呼び、走り寄る山下。

振り向いた安慶名に、山下が言います。

「そろそろ帰ろうか」

海に佇む安慶名は何をしようとしていたのか?

安慶名は、海で何をしようとしていたのでしょうか?

帰りたいと言ったものの、母や親友の死に絶望し海で入水自殺しようとしていたのか?

それとも、単に意識が朦朧として、自分がどこにいるのかわからなくなっていただけか?

どっちだったのか?と、個人的には思いました。

しかしいずれにしろ、山下は安慶名を止めようと必死になり、「帰ろう」と言葉をかけた。

その言葉で、安慶名は正気を取り戻し命を救われたのかもしれません。

本土と沖縄という出身地の溝が完全に埋まったかは定かではありませんが、

少なくとも二人は、「故郷に帰りたい」という共通の思いを持つ人間として、

互いを認識することができたということでしょう。

 

まとめ

映画「木の上の軍隊」。

戦争映画というよりは、故郷を戦場にされた沖縄の人々の思いを、私を含めた本土出身者がどこまで汲み取れるか?

それをテーマとして取り上げている作品だったと個人的には感じました。

山下と安慶名の会話で生じる気まずさは、まさに両者の間の認識のずれによるものです。

映画の後半、安慶名の気持ちを山下がようやく少し理解できた。

そう感じられる場面がありました。

しかしその理解はどの程度のものだったのか、個人的には疑問が残りました。

日本と沖縄の間には、いまなお歴史や戦争や基地問題などをめぐる様々な認識の違いがあります。

その認識のズレを乗り越え、互いに歩み寄ることの大切さ。

それを伝えるために、この作品のモデルである山口静雄さん(山下上官)と佐次田秀順(安慶名)との出会いがあり、

「木の上の軍隊」という作品が、80年以上もの時を経て私たちの元の届けられたのではないでしょうか。

この作品をまだ観たことがないという方は、是非、観て欲しいと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

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